ビジョン

ichiru は 70’s . 80’s . の MADE IN JAPAN ヴィンテージをセレクトしている、ちいさな古着屋です。

そんなちいさな古着屋にも、未来に向かってどのように行動してゆくか、定めていることがあります。

ちいさかろうが、おおきかろうが、公の場所で公のものとしてアクションする時に、向かう先に何があるのかを決めておいた方が動きやすいと共に、その動きが色々な方向に伝わりやすくもなるものです。

何も語らぬ塊よりも、声や表情、ことばとしての矢印がくっついていたほうが、近寄りやすく、怖くないはずです。お店にとっての心のような役割なのだと考えています。

それでは、3つのうちのひとつ、ichiru のビジョンからお話しします。



より少なく、より良く、より面白く。

より少なくとは、

  • ひとつの大切なことに深く集中する。そのひとつの事とその他のことをトレードオフする。

より良くとは、

  • 選んだ大切なことを更に磨き上げる。それだけをやるのではなく、それを中心に考えていく。

より面白くとは、

  • 社会に影響を与えられる、心が動かされる態度と姿勢。面白くなければ人は集まらない。




トレードオフというのはシーソーのような状態を指すことばです。こっちが上がればこっちは下がるというバランスのようなイメージです。選択肢というのは沢山あり好きなように選ぶことができますが、実はシーソーになってしまうような組み合わせが沢山あり、ichiru では古着を中心に考えていこうということです。

古着屋は沢山あるなかで、ichiru にしかできない場所につくりあげ、洋服というカテゴリーに視野を広げて、生活という根源的なところに根をはりたいと思っています。

動かぬ根っこがはえたその場所では、よほど外れたこと以外はなんでも通用する世界観がつくられるはずだと信じます。洋服を中心に楽しいコミュニケーションがうまれ、それ以外の LIFE が活発に循環するお店を目指します。

次に2つめのコンセプトのお話をします。



感じる、整える、混ぜ合わせる。そして MADE IN JAPAN

感じるとは、

  • 見たり触ったり体験したことを、そのままに受け入れて、ちいさな心の動きを見逃さないこと。生活の中にある最小単位を大切にできること。

整えるとは、

  • 感じたことを誰かに伝えられるくらい考えること。生活の中で心に集まったバラバラにみえるものを、落ち着いて整理する。きっと気持ちが整い、空間が整い、身の周りが整頓されていきます。

混ぜ合わせるとは、

  • 感じたものを整えられたら、物と心がバランスします。隙間やゆとりができて、ichiru という場所に鼓動がうまれます。いろいろなものが ichiru というお店一箇所に集まっても、連結されたり、触れあったり、勢いよくぶつかっても柔らかく漂い、全体としてうまく混ざっていきます。




こちらにも書きましたが、もう少し違うことばでも話してみます。

ちいさな変化に気がつくということこそが、感じるということの入口です。ちいさなものを集めていくと大きな変化として見えるはずです。

ちいさくては見えなかった事を感じる目で捉えた時、それを大きな器に移してみましょう。器を移す前に大切なのは、見えたものを深く知る事です。この段階ではきっと興味が出てきていますから、もっともっと知りたいはずです。知って、知識をつけるということが、整える事でしょう。

そうして移しかえた器の中で一見無関係な繋がりを発見したりします。「器」というのは文脈という言い方でもフィットしそうです。

例えば、散歩をしているとします。道を歩いていると沢山の種類の小さな花が咲いています。たくさん咲いているなと感じる。大きな文脈で考えると、もうすぐ春だったなと気がつきます。

暖かくなってくるから半袖を出さないと、などと花と関係のない事を大きな器の中で見つけます。別の視点で見て、別々のポジションにあるものの事を想像することが、混ぜ合わせる事の効果です。

その想像を空想に発展させられたら、最高です。

空想というのは、= 遊ぶということだと思います。ここで、ビジョンで掲げた「より面白く」と混ざります。遊びというのは人を動かしてくれるエネルギーです。

遊びというのは楽しさを出発点にしていて、その遊び自体がもっとも本質的なことではないでしょうか。つまり、自由奔放な探究心が遊びをうみだし、疑問や問題を明確にしていくのだと考えています。仕事と遊びの関係性を知ること、その境界線を分からなくしていくことがコンセプトです。

そしてその真ん中をつらぬくものとして MADE IN JAPAN があります。

ichiru のはじまりであり、とてもシンプルで明解な指針です。70’s. 80’s の日本製のものを見ていると、楽しい気持ちになります。その気持ちを分解して整えていくと、発見があったりします。発見がなかったとしても、楽しい気持ちになったという豊かさは、じぶんの中に残って彩りを与えてくれます。

MADE IN JAPAN を中心に混ぜ合わせることの実践が NIPPN VISUAL SELECT です。

最後に3つめ、本質的な目標についてのお話しです。


三浦市に住む20~40代、およそ1万人に MADE IN JAPAN の品質の高さがピークにあった時代の洋服を知ってもらい、その時代の洋服から広がる文化を持って帰ってもらう。

洋服は着ることが1番大きな機能ですが、今では、沢山の意味や解釈を含むようになりました。

日常生活の中で洋服を着るとき、ほとんどの場合ひとつのショップやブランドのものだけで揃えていないものです。感覚的にバラバラに組み合わさっています。それでいいというか、それがいいというか、そういうものです。

バラバラのものを組み合わせて、じぶんらしく楽しむことこそがファッションなのです。

今までお話ししてきたビジョンとコンセプトと、同じような感じです。

洋服を着るということは、じぶんに似合わせるということでもあります。

似合わせるというのは、じぶんのものにするということです。

数えきれない選択肢が存在する中から選んだり、ましてやファッションとして洋服を楽しんだりすることが大変で面倒くさいことだと感じている人は少なくないと思います。

じぶんのものにする、似合わせる、そんな掴みどころのない問題を解決するもののひとつに、文化を知ることが役に立ちます。1〜10まで知らなくても、1を知るだけでも何かが変わるはずです。

知らなかった音楽をひとつ知る、映画をひとつ知る、絵画を知る、何かを成した人物を知る、知らなかった食べ物を食べてみる、なんでもいいのですが、ひとつ知らなかったことを知るというだけでも、楽しく前向きな気持ちになります。

そして面白いと思えたら、その背景を知ってみることをお勧めします。

文化の背景には洋服があり、確実にじぶんの栄養になるものです。もちろん、洋服以外のことも沢山含まれています。関係のないと思われる事にも混ざれるポイントがあったりします。

みんな大好き、ギンビスの代表的なお菓子「しみチョココーン」は、建築の技法をもとに開発されたそうです。一般的な例ではないかもしれませんが、無意識を意識することができたなら、全く違うように見えているもの同士がくっつくことがあるのです。それは決して極端な例ではないと思います。

知るということはきっかけとなり、そのきっかけが何かを動かし何かを育て、じぶんを豊かにしながらじぶんの周りにいる大切な人をも豊かにしてくれます。

その人が本当に好きだと思っているものを感じたとき、嬉しくなったり、勇気をもらったり、感動させられたり、心動かされ、もっと見ていたいと思うものです。

みんな、きっと誰かにそういった感情を持ったことがあるでしょう。それはその人の魅力です。

その魅力は、その人が知っている素敵なことがその人自身の心となって表に現れているからです。

ちいさなかけらだったとしても、目に見えない何かひとつを渡せるような場所に ichiru が含まれるように、表情や目印、じぶん達の標識として、ことばにしました。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

ご来店をお待ちしております。お会いできるのを楽しみにしております。

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