COSMIC WONDER をウォッチ

ブランドウォッチング

こんにちは。ichiru の佐々木 拓馬です。
ぼくの簡単なプロフィールは、よろしければこちらからご覧ください。

今年で40歳になりますが、「40には見えない!」「そんな馬鹿な?!」などと大袈裟に驚いてくれる人がいます。はっきり言っておきます。そういう人は、大好きです。もっと言ってください。お返しで誉めたりはしませんが、誉めてください。喜びます。本題にいきましょう。

古着というものは元々持っていた人がいらないと判断して手放されたものが大半です。ある人にとっては価値が無くなってしまったものでも、そこに新しく価値を見つけたり作ったりすることで、要らないと思われた洋服に再び光をあてるのが古着屋の仕事です。

そういった創作のようで創作ではないような行為を繰り返していくと、自分の判断がどの方向に向いているのか分からなくなることがあります。つまり、価値というのはなんだったっけ?という疑問が大きくなって、いったい何をしていたのかも忘れてしまうような感じになります。

なので私は、古着という場所にこだわりすぎないようにしています。

私は業界人みたいなすごい知見や知識を持っているわけでもないのですが、ひとりの買い手として、新しくつくられている今の洋服にも古着と同じくらい関心があります。定期的に気になるブランドを見ています。この見ている時間をみんなで共有できたら楽しいのではないか?と思い、今書いているこの記事を書いてみることにしました。

今回見ていくブランドは「COZMIC WONDER」です。どういったブランドなのか、公式サイトから引用します。

1997年、前田征紀を主宰として設立。「精神に作用する波動」としての衣服、美術、書籍など多岐にわたる表現領域により展開。2007年、東京・南青山に「Center for COSMIC WONDER」を開設、活動と発表の拠点とする。2016年より京都・美山の重要伝統的建造物群保存地区の古民家と工場跡を製作スタジオにする。

https://www.cosmicwonder.com/ja/about/

「精神に作用する波動」としての衣服というインパクトのある言葉が。私のような普通の人間には着てはいけないような気にもなりますが、そんなことはありません。

どんな洋服にも精神=心に作用する波動=想いがあると思います。むつかしい言葉を使ってはいますが言っていることはとてもシンプルです。意訳すると「好きになる洋服を作りたい」ということだと思います。

心が動き、能動的にその洋服を着たいと思えるものを作りたいという姿勢です。なんとなく無難だから、とかそういった洋服はここにはないということです。さて、準備が整いました。洋服を見ていきましょう。

もう、伝わってきますね。百聞は一見しかずなんて言いますが、COSMIC WONDERの洋服には言葉が詰まっています。見ながらにして読んでいて、聴いていて、それを感じて「わぁ」と感慨を漏らすのです。派手で目を引くような華やかさではなく、静寂があり水脈流れる美しさを私たちはこの洋服を見て身体にめぐらしているのかもしれません。

中でも私が気になったアイテムをひとつだけピックアップします。

「有機栽培綿袖なしラップドレス」という名前の一着です。

COSMIC WONDERのベーシックな意匠。肌触りの優れたオーガニックコットンによる、ブロードの半袖ラップドレス、ラップパンツ。風合いのある美しい色は後染によるもの。墨と琉球藍を重ねた墨山原藍。奄美大島に自生している車輪梅(テーチ)染めとコチニール染めによる野薔薇。古と今が重なり朧げに現れる形から。

夢が現実の中に立ち現れ、次元を超越した印象の衣。

https://centerforcosmicwonder.com/goods_ja_JPY_2457.html

「次元を超越した印象の衣」という言葉に目がいきます。

「COSMIC WONDERのベーシック」というのは、この1着から始めたらいいということのようにも思えます。奄美大島ではとてもポピュラーなテーチという木が、大島紬の糸染に欠かせないもののようです。

コチニールというのは食品ではハムやかまぼこ、化粧品では口紅やアイシャドーなどに使われている染料です。サボテンなどに生息する虫が作り出す赤い色素で、インカ帝国の時代から衣服や装飾などに使用されていたようです。

「古と今が重なりおぼろげに現れる形」というのは古くから使われている染料が、今の人が作り出すデザインと重なり形作られるということでしょうか。

洋服と時間の重なりというのは古着屋からすると、とても相性のいいことのように感じます。

写真からも優しい表情が伝わってきます。自然につくられているドレープがとても美しいです。

ネックとスリーブのカーブがとても綺麗です。自然に流れる肩のラインが、着物のような、かっちりと決められたスリーブではないような印象を受けます。きっと気持ちよく無理のない動きができるだろうなと、想像が膨らみます。

脇の部分にマチのように別布が当てられているよな感じがしますが、どうなのでしょうか。

切り返しになっているのは間違いなさそうなので、どちらにしてもスリーブといい脇の仕末といい「動き」がデザインされています。

バックはアクションプリーツというミリタリーをベースにしたデザインが。これも「動き」のデザインですね。

無駄がなく静かなデザインの真ん中に、動きを助けるためのプリーツであるアクションプリーツが施されています。静と動が同じ場所に佇んでおり、人が着ることを促しているかのようです。

前のラップ部分。
後ろのラップ部分。
バック全体像。

後ろ見頃から、着ている人の動く姿が見えてくるような気がします。とても美しい佇まいです。

コズミックワンダー、これからも是非チェックしてみてください。

それではまた。

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