どうも佐々木 拓馬です。私の簡単なプロフィールはこちらから。よろしければご覧ください。
今回はタイトルにも書きましたとおり、洋服を紹介する言葉についてでございます。
そのことをアパレル紹介言語辞典と名付けました。
さまざまな場所で紹介される洋服に添えられる言葉、言葉、言葉。みんな、新しいアイテムを新しい言葉で紹介しようとするあまり、どんどん激しくなっていってます。激しいというか、過剰というか、ひと言でいうと、よくわからないことになっています。
今回はそれを一緒に検証していきたいと思います。それでは早速みていきましょう。
まずはじめに、プレイコムデギャルソンのストライプシャツを紹介する言葉を見てみましょう。
主役級の存在感を放つ「プレイ コムデギャルソン」のストライプシャツは、ブランドを象徴するモチーフアイコンが覗く、オンにもオフにも似合う一枚。タイトなシルエットですっきりとしたスタイリングを完成させます。
https://www.fashionsnap.com/article/shirts-jacket-womens-list/?utm_term=Autofeed&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1666225794
どうでしょうか。すっと通り過ぎるように読めてしまった人は毒されてます。そうゆう文章読みすぎ注意です。
まず、「主役級の存在感を放つ」から始まりますが、そんなに言わなくてもいいと思います。
言いすぎることによって、シンプルですっきりとした仕立ての良いシャツが、ただの普通のストライプシャツじゃないか、と突っ込まずにはいられなくなってしまうという逆効果をうんでいるようにと思います。
そして「オンにもオフにも似合う」ともありますが、そんなものはないと言わざるを得ません。そしてそれは「主役級の存在感」とは同居しないのでは。
考えてもみてください。大体のものはオンでもオフでもその人がその人なりに着ているものです。
それよりも、「主役級の存在感」をオフに着るのはちょっと疲れますし、万能すぎる主役なんてドラマや映画で見たことありません。万能、それは素晴らしき脇役なのです。
どんどんいきましょう。シーバイクロエのストライプシャツです。
襟元の繊細なレースがロマンティックなアクセントに。緩やかなシルエットと滑らかな質感が心地よく、スカートと合わせてもパンツスタイルでも◎。エレガントに決まる万能選手です。
https://www.fashionsnap.com/article/shirts-jacket-womens-list/?utm_term=Autofeed&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1666225794
この短い文章によくぞ詰め込んだなと賛辞を述べたいと思います。
「ロマンティックなアクセント」はロマンティックのままにそっとしておいてほしい、と感情がロマンティクに移入してしまい、アクセントが悪役に見えてきます。
「エレガントに決まる万能選手」とはなんなんでしょうか。エレガントに決まっているのならそれはエレガントではないのですか!万能ではないでしょう!そして、わたしは選手じゃない、ストライプシャツです!あなたを包み込むために一番を獲得しにいくほどわたしはあなたのことを知らないのです。
「◎」。やる気ないな、これ、急に。
かわいい素敵なシャツなんです。
次は、ザ フランキー ショップのストライプシャツです。どうやらストライプ特集の記事だったようですね。
定番のウェアを、ミニマムで都会的なデザインに仕上げている「ザ フランキー ショップ」。レイヤードスタイルでも一枚でも映える、爽やかなパステルピンクのストライプシャツを、オーバーサイズで楽しみたい気分。
https://www.fashionsnap.com/article/shirts-jacket-womens-list/?utm_term=Autofeed&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1666225794
定番というには太めのストライプで、色もパステルピンクですし、結構クセが強いのではないでしょうか。そんな疑惑を軽く吹き飛ばしてくれるワードは「ミニマムで都会的」です。
なんですか、それは。何かを言っていそうで何も言っていない代表、井上陽水さんも驚きのワードです。私もお店が大成功したときなどのインタビュー時に使ってみたいと思います。
「オーバーサイズで楽しみたい気分」に関してはもうあなたの気分?!というパラレルワールドへの入り口です。
最後にもう一着の紹介文を見てみましょう。エル ブイ アイ アールのシャツです。
ハンサムな表情に魅了される、「エル ブイ アイ アール LVIR」のブラックシャツ。アニマルフリーレザーで仕立てたモダンな一枚は、ひねりを効かせたツイストネックディテールで、洗練された無二のスタイリングを叶えます。
https://www.fashionsnap.com/article/shirts-jacket-womens-list/?utm_term=Autofeed&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1666225794
恋の始まりを告げられる急な展開「ハンサムな表情に魅了される」ところからもう目が離せません。
「ひねりを効かせたツイストネック」はこの記事一番のヤバさだと思います。なんのこっちゃわかりませんが、画像を見てみましょう。
なるほど。しかし、ひとこと言いたい。コメントのひねりをツイスト&シャウトしてハンサムな表情のあの子の瞳に乾杯する前に早くおうちのベッドでゆっくり寝てほしい。
いかがでしたでしょうか。面白いです、アパレルの紹介文。
お断りしておきたいのは、私はずるいということです。
どなたかがお書きになったものを揚げ足をとるように書き立てているにすぎないのです。
洋服屋の端くれとして、洋服の素敵さを言葉を尽くして書いていくことの大変さ、とてもよくわかります。
より新しく見えるように、新しい言葉や表現を探しているのだと思います。
しかし、それは苦しいですし、何よりも無理なことなのです。
人間の体が大昔から現代にかけてそれほど変化していないように、洋服だって大きな変化など起きてはいません。
良いものを良いと言い伝えることはとてもむつかしいことなのです。
そういった苦しみを、私というバカなフィルターを通して浄化して楽しんでいけることができたらなと考えて、今回の企画を記事にしてみました。書いた人、応援してます。
洋服に関わる全ての人に幸あれ。
ではまた。
コメント